長谷君を悼んで 49年度卒 細川敏幸
締切り間際まで、ペンを取ることができませんでした。 徳繁さん、 西村先生、 原君と数年に一度ずつの死とむかっていても、それでも長谷君の死は信じられません。 凡庸を常とする現代人の中にあって、彼のように思いきった人生を選べる者は貴重な存在です。 その珠玉のような人生が、こうも早い終えむかえるとは、神様のされることは不可解この上もありません。
最初はいかつい顔をした変な男だと思いました。 以後彼と同じ北大に入学し、10年近くもつきあうことになるとは予想もしませんでしたが。北大を選んだことから考えると、高校時代からすでに彼は山に賭けるつもりだったのだと思います。 私などと違って、いつもどこか真剣な部分をもって生きていました。北大時代には、木村さん佐々木さんにつれられてよく4人で飲みに出かけました。徳繁さんを悼んでみんなで高々時代の歌をうたったのがまるで昨日のようです。
私がいいかげんな山登りとともに大学を終える頃には、 山男としての筋金が入っていました。 彼は登山家としての自分を選んだのです。 しかし、ゆったりと決められた他人と同じ運命を歩みつつある我々には、彼が選んだ道を批判する権利はないでしょう。 それにしても、まだ何十もの未登峰を極めたかったであろう彼の心中を思うと無念でなりません。
最後に、心から追悼の意を表して終りたいと思います。
長谷君 やすらかに眠ってください。